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第二種電気工事士 筆記試験ポイント集No3

第3章 配電線路の電圧降下

1.単相2線式回路の電圧降下

単相2線式回路の場合は、行と帰りの回線の抵抗で電圧降下が発生しますので、電圧降下Vr=2・I・r[V]となります。

2.単相3線式回路の電圧降下

 単相3線式回路は、前項でご紹介したように、外線と中性線間の電圧は100V、外線と外線間は200Vを取り出すことができる方式で、負荷のバランスがとれていると中性線には電流が流れません。そこで、電圧降下といえば、外線電線1本分の電圧降下として計算します。
 電圧降下 Vr=I・r[V]

3.三相3線式回路の電圧降下

 三相3線式回路の場合は、実は送りの線しかないのです。すなわち電流の流れとして考えると、電源から負荷方向しか流れていません。
電流の帰り道はないのです。理由は三相3線式の場合、3つの交流電源が3本の線で送られてるのですが、その3本の電源の位相は120度ずつずれています。120度ずれているのでお互いに相殺しあうため、帰りの電線が不要になっているのです。従って
  電圧降下Vr=√3・I・r[V]で計算します。

          ■■過去問■■
【1】単相3線回路で、中性線に電流が流れていない場合の各種計算


①電圧降下V=I・r=10×0.1=1[V]
②抵抗の両端電圧Vab=105-1=104[V]
 ③この回路の電線路の電力損失は、中心線には電流が流れていないので、2線分を合計する。
P=I2×r×2=(10)×0.1×2=20W

【2】三相3線式回路の場合の電圧降下

①三相3線の場合の電圧降下Vr=√3・I・r=1.73×10×0.15≒2.6[V]

4.電線の許容電流

 電線に流すことのできる電流の最大値は、以表のとおりです。
例えば、1.6mmの電線には27[A]まで流すことができます。

覚え方:
・イチローにならえ(1.6mm-27A)
・ニジューはサイコー(2.0mm-35A)
・サンゴは皆な好き(3.5㎟-37A)
・ゴーゴー4駆(5.5㎟-49A)

なお、ゴムコード(絶縁被覆がゴムのもので電熱器等に利用されるコード)の許容電流は下表のとおりです。

例えば、1.25㎟のゴムコードの場合、12[A]まで流せます。過去問ではこのコードで使用できる電熱器の容量
を問う問題が出ています。一般に100Vで使用しますので、容量=V×I=100×12=1200[W]まで
使用できることになります。

5.電流減少係数

  電流減少係数は、例えば上記4項で示した電線を金属管などに収容して配線した場合、密閉されますので、  
 電線の発熱量が増えます。従ってこのような場合は、電線に流せる電流値を減らさなければなりません。

 例えば、2.0㎜の導線は35[A]流せますが、同一金属管に3本収容する場合の許容電流Iは、左表から
  許容電流I=35×0.7=24.5[A]となります。

    ■■過去問■■
【1】金属管による低圧屋内配線工事で、管内に断面積5.5[㎟]の600Vビニル絶縁電線(軟銅線)
 3本を収めて施設した場合、電線1本あたりの許容電流[A]は。ただし、周囲温度は30℃以下、
 電流減少係数は0.70とする。
 
   イ: 19  ロ:24  ハ:34  二:49

<解説> 断面積5.5[㎟]の600Vビニル絶縁電線の1本あたりの許容電流は、第4項の表より
  49[A]である。
 金属管内に3本収容するので、流せる電流は減少するが、題意により0.70と与えれている
 ので、49×0.70=34.3[A]と計算する。従って答えは、ハ:34となる。
 注:この問題のように電流減少係数は提示されますので、覚える必要はありません。
   各電線の許容電流は覚えておく必要があります。

6.分岐開閉器と過電流遮断器の施設

 各家庭には電柱から単相3線で電力が供給されている。左図は各家庭の積算電力計から分電盤までの配線例を示したものである。
 分電盤からは単相2線で100V又は200Vを供給可能である。

 分電盤には、上図のように漏電機能付きの過電流遮断器Bと各配線系統に使用する分岐用の過電流遮断器(B1~Bn)がある。分岐用の配線を分岐回線という。
 電気設備技術基準には、上図(右図)に示したように、各分岐回線の許容電流により、分岐用の過電流遮断器の設置距離が定められている。

 ①基本的には、分岐点から3m以内に分岐用の過電流遮断器を設置しなければならない。(原則)
 ②分岐回線の許容電流Iが幹線の過電流遮断器の定格電流I35%以上の場合は、8m以内に分岐用の
  過電流遮断器を設置する。 
 ③分岐回線の許容電流Iが幹線の過電流遮断器の定格電流I55%以上の場合は、 距離の制限はな
  い。

■■過去問■■
【1】定格電流50Aの過電流継電器で保護された低圧屋内幹線から分岐して
7mの位置に過電流継電器Bを施設するときのa-b間の許容電流の最小値[A]は。

<解説> 7mの位置に過電流継電器Bを施設する ので、上記② 定格電流I
  35%以上の場合は、8m以内に該当する。
  8m以内の場合は、分岐回線の許容電流は、幹線の許容電流の35%以上で
  ある必要があるので、 a-b間の許容電流の最小値は
    50[A]×0.35=17.5[A]
  となる。

注:同様な問題がほぼ毎年出題されています。

7.配線用遮断器との組合せ

 各分岐回線の過電流遮断器の容量(15A~50A)に対して、使用する電線の太さと接続可能なコンセントの種別は、下表のように定められている。

①15Aの分岐回線には、直径1.6mm以上の電線
 を使用し、接続できるコンセントは15A以下で
 あること。
② 20Aの分岐回線には、直径1.6mm以上の電線
 を使用し、接続できるコンセントは20A以下で
 あること。

以下、左表のとおりである。
朱書きの箇所は必ず覚えておいてください。

この内容に関する問題では、以下の点について覚えておきます。

  1. 30A分岐回路に15Aコンセントをつないではダメ!
      ・・・上表より30A分岐には20A以上30A以下のコンセントとなってます。
  2. 30A分岐回路の電線は2.6mmまたは5.5㎟を使用
  3. 20A分岐回路に30Aコンセントをつないではいけない!
      ・・・上表より20A分岐には20A以下のコンセントとなってます。
■■過去問■■
【1】低圧屋内配線の分岐回線の設計で、配線用遮断器、分岐回線の電線の太さ及び
 コンセントの組合せとして、適切なものは。
  ただし、分岐点から配線用遮断器までは3[m]、配線用遮断器からコンセントまでは
 8[m]とし、電線の数値は分岐回線の電線(軟銅線)の太さを示す。
 また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。


<解説>イは、上記③(20A分岐回路に30Aコンセントをつないではいけない!に該当するのでNG
ロ:上記② 30A分岐回路の電線は2.6mmまたは5.5㎟を使用 に反するのでNG
ハ:40Aコンセントには30A~40Aを使用するので適切、電線の太さも8㎟なので適切
二:上記① 30A分岐回路に15Aコンセントをつないではダメ! に該当するのでNG
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東京でんき塾
講師経歴:NTTを退職後、法政大学理工学部で電気主任技術者系の発電機、電動機、高圧装置などの実験を担当。現在はフリーの講師等として活動中です。 所有資格:電気通信主任技術者、電気通信工事担任者(総合種)、第1級陸上無線技術士、電気主任技術者、ネオン工事技術者、電気工事士など多数。